2023/06/23 2024/07/18
スーパーアミノ酸『タウリン』その驚くべき効果・作用・飲み方
ファスティングアドバイザー(1級断食指導者)
田中 裕規(断食メガネ)/ファスティング、分子栄養学、筋トレ、料理の専門家
2023年6月に米コロンビア大などのチームが、実験でマウスとサルにタウリンを与えると健康になり、長生きするとの研究結果を米科学誌サイエンスに発表し話題になりました。
2012年にも同コロンビア大の研究チームは、マウス、サル、ヒトの血液成分を分析しており、その結果、年齢とともにタウリンの濃度が劇的に低下することを発見し、これが老化現象の潜在的な要因として考えられていました。
そしてこの実験で、中~高齢のマウスにタウリンを与えたところ、与えられなかったマウスよりも健康で若々しく、骨密度、筋力、記憶力、免疫系にも良好な効果が出たことを発見しました。
そして、サルにタウリンを毎日与えると、体重の増加が防止され、血糖値を下げ、骨密度と免疫系が改善し、健康が増進することも発見しました。
このことからタウリンは美容・老化防止・健康長寿において、とても重要な役割があることが報告されています。
このように高い健康効果を示すタウリンですが、その他の健康、美容に及ぼす効果や、ファスティング中に飲むメリットなどを解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
タウリンの基礎
タウリンは体内で合成され、骨格筋はじめ、心臓、牌臓、生殖器、脳下垂体後葉、松果体、すい臓のβ細胞、副腎などに多く存在します。
タウリンは食べ物から補う他に、薬やサプリで摂取することができます。
薬は合成物で医薬品指定されており、ウシやヤギなど動物の胆汁から抽出された物はサプリメントとして取り扱われています。
一般的に滋養強壮のイメージがありますが、下記のような効果が世界中の研究で認められています。
- 肝臓損傷の修復、肝臓の保護、肝機能向上
- デトックス、重金属の排泄、解毒向上
- アルコールの解毒促進
- コレステロールをコントロール
- 血糖値、血圧の降下作用
- 血管若返りホルモン『アディポネクチン』の分泌向上
- 胆嚢、眼、血管における抗酸化作用
- 活性酸素、過酸化脂質の抑制
- ミトコンドリアの増殖と活性化
- 脂肪分解の促進、ダイエット効果
- 精子の保護作用・受精力を高める
- 筋肉に働きかけスポーツパフォーマンスを向上
- 筋肉損傷からの保護と回復促進作用
- 脳の神経伝達機能と集中力の向上
- 胎児の脳の正常な発育補助
- 目に働きかけ、網膜を保護
- 脳から分泌されるホルモンの調整作用
- テストステロン分泌を刺激
- NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性化・免疫向上
美容面では
- 皮膚バリア機能の向上
- シワ・たるみの予防
- シミ・くすみの予防
- 髪の修復、白髪、抜け毛の予防
など様々な健康効果が研究報告されているタウリンですが、今もなお、健康、美容、老化の抑制、長寿効果などの研究がすすめられています。
体内で合成されるタウリン
タウリンは硫黄やビタミンB群によって体内で合成されます。
ところが体内での合成量は少なく、食べ物から補うことが必要とされています。
加齢とともに合成量が減少してきますので、年齢を重ねるほど補うことが大切となり、食事で補う場合、牡蠣、ホタテ、あさり、はまぐり、イカ、タコ、カツオ、サバ、アジ、イワシ、サンマなど魚介類に多く含まれています。
薬やサプリで補う場合、化学合成物である医薬品は1日2,000gまでが推奨量とされています。
天然抽出物のタウリンは高容量での副作用の報告がなく、5,000mgほど摂っても安全とされています。
女性はエストロゲンの作用で合成量が抑えられるので、男性より多めに摂ることが推奨されています。
健康、美容目的のために毎日1,000~2,000mgほど摂ると良いでしょう。
化学合成物は合成の際に生じる不純物が残存し、これが体の負担となりますが、天然抽出物のタウリンは化学合成と違い、不純物、残存物の心配が無く、粉ミルクに添加されるほど厚労省に安全と認められています。
解毒に働くタウリンはファスティング中もおすすめ
タウリンは解毒酵素のシトクロムP450(CYP450)の働きを高める作用や、胆汁酸の合成を高める作用があります。
シトクロムP450はPCB、ダイオキシン、薬物、重金属など有害物質の排泄を促す酵素であり、細胞内の毒素を胆汁に排泄することで、デトックスを促進させます。
ファスティング中はデトックス作用が高まるので、タウリンを飲むことで解毒の促進だけでなく、肝臓保護、肝機能向上、損傷した肝臓の回復、ミトコンドリアの活性化、ダイエット、ホルモンバランスの調整、脳機能向上など、より一層ファスティングの効果を高めることができます。
肝機能向上、アルコールによる肝臓障害からの再生を促すタウリン
タウリンはアルコール分解酵素の合成を促進させる効果や、アルコールによって損傷を受けた肝臓の細胞を再生させ、機能を回復させるとの研究報告があります。
飲酒前にタウリンを摂取することで肝臓を保護し、飲酒による疲労、倦怠感を改善してくれます。
飲酒が続いている時や、肝臓が疲れている時こそタウリンがおすすめです。
アスリートとタウリン
短距離走やウェイトトレーニングなどの無酸素運動時は、筋肉内の酸素が欠乏することでエネルギー産生ができなくなり、筋パフォーマンスが低下します。
ところが無酸素運動時にタウリンを摂取することで、筋肉内の酸素欠乏時のエネルギー低下を抑えることが実証されており、これにより無酸素運動時の筋パフォーマンスの低下を抑えることができます。
他には筋肉内でのマグネシウムとカルシウムのモジュレーション(バランス調整)が整い、筋肉が的確に働くように調整を行なうこともわかっています。
タウリンはテストステロンの分泌を高める働きがあり、ドーピングにもならないことから、筋肉強化を求めるアスリートにとって、とても有効な栄養素と言えます。
脳では集中力を高め、神経伝達物質に働きかける効果も認められているので、スポーツ選手や格闘家だけでなく、芸術家、音楽家など、集中力を必要とする人達にもおすすめの栄養素と言えます。
女性とタウリン
タウリンは皮膚バリアの向上、シワ・たるみの予防、シミ・くすみの予防、髪の修復、白髪、抜け毛の予防など、女性に嬉しい働きがたくさんあります。
しかし、女性ホルモンのエストロゲンは、肝臓でのタウリン合成を減少させる働きがあり、ピルや環境ホルモンの影響でもタウリンの合成が減少することが確認されているので、より多くのタウリンを摂ることが必要とされています。
他にもタウリンは、貧血を改善する働きが報告されており、鉄分不足による貧血患者に鉄サプリとタウリンを1,000mg摂取させた結果、タウリンを摂取しないグループと比較してヘモグロビン、フェリチン値の両方に改善が見られた研究報告があります。
妊娠中の女性においてもタウリンはとても重要で、胎児の血清中のタウリン濃度は母体の3倍以上存在していることが発見されています。
胎児の脳が正常に発育するうえでタウリンが必要であることから、妊娠中はより多くのタウリンを摂ることが推奨されています。
授乳中においても、タウリンは赤ちゃんの脳の発育に関わることから、妊娠中、産後ともにタウリンをしっかり摂取し、赤ちゃんの健康的な成長に繋げることが大切と言えます。
粉ミルクには必ずタウリンの配合が義務づけられているほど、赤ちゃんや胎児に必要な栄養素とされています。
シワ、皮膚の老化予防とタウリン
タウリンは表皮に局在し、水分の維持に重要な働きを果たしています。
経口摂取でも肌に届くことが分かっており、タウリンを摂った群と、摂らなかった群では、紫外線照射(UVB)をした際、肌の水分量、シワの減少などに優位な差がありました。
また、肌バリアに重要なタイトジャンクションを構成しているセラミド、コレステロールの合成にも働き、紫外線の影響による水分低下、シワの予防、肌の乾燥予防にも働いています。
このようにタウリンは、肌バリア、保湿に重要な働きを担い、シワを予防し、紫外線(UVB)による肌老化を防いでくれます。
不妊とタウリン
筑波大学とコーネル大学の共同研究で、タウリンが不足している精子は、子宮内で浸透圧によって鞭毛が変形させられ、卵子に到達しなくなると報告しています。
タウリンが多い精子は、子宮内の浸透圧の影響から身を守り、卵子に到達することで受精しやすくなるというものです。
近年、男性側に原因がある不妊症が増えていて、男性不妊のうち80%は造精機能障害という報告があります。
タウリンは精子を元気にするだけで無く、テストステロンの分泌に関わっているので、タウリンをしっかり摂ることで妊娠の確率が上がって行くと言えるでしょうが。
タウリンは精子を元気にするだけではなく、卵子のミトコンドリアを元気にする働きがあるので、妊娠しやすい体に整えるためにもぜひご夫婦でタウリンを意識した食生活を送ってみるのはいかがでしょう。
老化予防とタウリン
米コロンビア大学が発表した論文によると、マウス、サル、人間の血中のタウリン量を調べた結果、加齢と共に血中のタウリンが減っていることを発見し、これが老化に繋がっていると仮説を立てました。
そしてマウスを使ってタウリンを与えたグループと、与えなかったグループを調べた結果、オス、メスともに骨量や筋力が増え、うつ症状と言える不安を示す行動が減るなど、補給しないマウスより健康になり、人間の年齢で7~8年相当の寿命が延びたことが分かりました。
細胞レベルでは、ミトコンドリアの働きを改善し、有害物質を排出する「ゾンビ細胞」と呼ばれる細胞を減らし、DNA損傷も抑えたことも確認しました。
次に中年期のアカゲザルに6カ月にわたり毎日タウリンを補給する実験を行ったところ、体重増加が抑えられ、血糖値や肝機能が改善し、脊髄と脚の骨密度も高めていたことが分かりました。
そして動物実験とは別に、ヨーロッパ各国の60歳以上の約1万2,000人を対象に体内のタウリン量と50項目に及ぶ健康指標との関係を調べたところ、血中のタウリン濃度が高い人は2型糖尿病や高血圧が少なく、肥満度も低い傾向だったということも分かりました。
このことからタウリンと老化の関係が発表され、タウリンの重要性が広く認知されました。
タウリンまとめ
このように、様々な働きがあるタウリンですが、日常生活で健康を目的に摂るのはもちろん、生活習慣病が気になる方や、デトックスを必要とする方、ファスティング中、妊活中や妊娠中、授乳中、スポーツ選手などは積極的に摂取し、美しく健康で、若々しい過ごしていただければと思います。
サプリでも手軽に摂ることができるので、高品質のサプリで補うこともおすすめします。
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タウリンが含まれる食材
タウリンは水に溶けやすく、茹でたり煮たりすると、タウリンが失われるので、ゆで汁も一緒に食べれる調理法か(スープなど)、生で食べることをおすすめします。
または、サプリで手軽に摂取することもできます。
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ここからはご案内となりますが、目を通していただけましたら幸いです。
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この記事を書いた人
ファスティングアドバイザー(1級断食指導者)
田中 裕規(断食メガネ)/ファスティング、分子栄養学、筋トレ、料理の専門家
ファスティングと分子栄養学の専門家/1級断食指導者/ファスティングマイスター学院・上級講師/臨床分子栄養医学研究会・指導認定カウンセラー/ファスティングサポート実績18,235人以上/ファスティングと分子栄養療法のスペシャリストとして各メディアで紹介いただいています。
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